第9章 労働関係の展開に関する法規整
育児介護休業法と深夜業
育児介護休業法において、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者および要介護状態にある対象家族を看護する労働者については男女を問わず、6ヶ月以内の期間を区切って深夜業の免除を請求する権利が規定された(19条、20条)。
この請求は、回数の制限はなく、何回でも行うことができるが、
① 雇用期間1年未満の者
② 深夜に常態として保育ないし介護してくれる同居の家族等がいる者
③ 週の所定労働時間が2日以下の者
④ 所定労働時間の全部が深夜にある者
には請求権がなく、また、「事業の正常な運営を妨げる場合」には事業主は請求を拒否できる。
女性の深夜業に対する指針
女性を深夜業に従事させる場合については、「深夜業に従事する女性労働者の就業環境等の整備に関する指針」が定められている。
①通勤および業務遂行の際における安全の確保(送迎バス、防犯灯、防犯ベル、1人作業の回避、等)、②子の養育または家族の介護等の事情に関する配慮、③仮眠室、休養室の整備、④健康診断等の事項を事業主の行動指針として提示している。
育児介護休業法における時間外労働の規制
育児介護休業法は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者および要介護状態にある家族を介護する労働者が請求したときは、使用者は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、1日24時間、1年150時間をこえて労働時間を延長してはならないとしている(17条、18条)。
母性機能に有害な業務への就業禁止
使用者は、「妊産婦」(妊娠中の女性および産後1年を経過しない女性)を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠・出産・保育などに有害な業務に就かせてはならない(労働基準法64条の3第1項)。
この就業禁止は、女性の妊娠・出産機能に有害な業務につき、省令で、妊産婦以外の女性に準用される(同条2項)。これらの就業禁止義務および就業禁止を準用される者の範囲は省令で定められている(同条3項)。
従前は、女性労働者一般について、広範な危険有害業務が設定され、それらへの就業禁止が行われてきた。しかし、技術革新による作業態様の変化、安全衛生に関する法規制の進展および女性の体力・教育水準の向上によって、そのような一般的で広範な就業制限はむしろ女性の機会均等を妨げるものと指摘されるに至った。
こうして、男女雇用機会均等法の制定に伴う法改正では、女性の妊娠・出産・哺育という母性機能にのみ着目した就業制限が規定された。
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