第9章 労働関係の展開に関する法規整
割増率
使用者が時間外・休日労働の規定(労働基準法33条1項2項・36条)によって労働時間を延長し、もしくは休日に労働させた場合、または午後10時から午前5時までの間の深夜に労働させた場合においては、その時間またはその日の労働については、通常の労働時間または労働日の賃金の計算額に一定の割増率を乗じた割増賃金を支払わなければならない(同法37条)。
割増率は、次のとおり定められている。
① 1か月の合計が60時間までの時間外労働および午後10時~午前5時までの深夜労働については2割5分以上の率
② 1か月の合計が60時間をこえた時間外労働が行われた場合の60時間を超える時間外労働については5割以上の率
③ 休日労働については3割5分以上の率。
割増賃金の除外賃金
割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他省令で定める賃金は算入しない(労働基準法37条5項)。
割増賃金の算定の基礎から除外される賃金には3種類ある。
①「家族手当」「通勤手当」「別居手当」「子女教育手当」「住宅手当」
②「臨時に支払われた賃金」
「臨時的・突発的事由にもとづいて支払われたもの及び結婚手当等支給条件は予め確定されているが、支給事由の発生が不確定であり、且つ非常に稀に発生するもの」とされている。
③「1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」
これは、賞与や1か月をこえる期間についての精勤手当、勤続手当、能率手当などを指すとされている。
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