第9章 労働関係の展開に関する法規整
管理監督者
労働基準法の労働時間・休憩・休日の規制を適用されない代表的な労働者が「監督若しくは管理の地位にある者」すなわち、事業主に代わって労務管理を行う地位にあり、労働者の労働時間を決定し、労働時間に従った労働者の作業を監督する者、いわゆる「管理監督者」である。
管理監督者は、労働時間の管理・監督権限の帰結として、自らの労働時間は自らの裁量で律することができ、かつ管理監督者の地位に応じた高い待遇を受けるので、労働時間の規制を適用するのが不適当とされるためである。
行政解釈は、「監督若しくは管理の地位にある者」とは労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体の立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべしとしてきた。
行政実務及び裁判例において必要とされてきた要件は、①事業主の経営に関する決定に参画し、労務管理に関する指揮監督権限が認められていること、②自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること、③一般の従業員に比しその地位と権限にふさわしい賃金(基本給、手当、賞与)上の処遇を与えられていることであった。
最近では、アルバイト従業員(クルー)の採用、時給額、勤務シフト等の決定を含む労務管理や店舗管理を行い、自己の勤務スケジュールも決定しているファストフード・チェーン店の店長も、営業時間、商品の種類と価格、仕入先などについては本社の方針に従わなければならず、企業全体の経営方針へも関与していないとして、「管理監督者」とは認められないとされている。
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