第9章 労働関係の展開に関する法規整
派遣元事業主の講ずべき措置
労働者派遣法は、派遣元事業主に対し、次の措置を講ずることを定めている。
① 派遣労働者の雇用安定のための措置(労働者派遣法30条1項・同施行規則25条の2第1項)
② 派遣労働者のキャリア形成のための措置(同法30条の2)
③ 均衡待遇の確保(同法30条の3)
④ 派遣労働者の福祉の増進(同法30条の4)
⑤ 派遣労働者への労働条件・就業条件等の明示(同法32条、34条、34条の2)
⑥ 派遣先への一定事項の通知(同法35条)
⑦ 派遣管理台帳の作成・派遣元責任者の専任(法36条、37条)
派遣元事業主の講ずべき雇用安定措置
労働者派遣法は、派遣元事業主に対し、派遣労働者の雇用の安定を図るために、次の「雇用安定措置」を講ずることを定めている。
① 特定有期雇用派遣労働者等に対する雇用安定措置の努力義務
派遣元事業主は、有期雇用派遣労働者であって派遣先の同一の組織単位(「課」など)の業務について継続して1年以上の期間当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがあるものとして厚生労働省令で定めるもの(「特定有期雇用派遣労働者」)その他雇用の安定を図る必要性が高いと認められる者として厚生労働省令で定めるもの又は派遣労働者として期間を定めて雇用しようとする労働者(登録状態の者)であって雇用の安定を図る必要性が高いと認められるものとして厚生労働省令で定めるもの(「特定有期雇用派遣労働者等」)に対し、ⅰ~ⅳのいずれかの措置を講じるよう努めなければならない(労働者派遣法30条1項・同施行規則25条の2第1項)。
ⅰ)派遣先に対し、特定有期雇用派遣労働者に対して労働契約の申込みをすることを求めること
ⅱ)派遣労働者として就業させることができるように、合理的な条件での就業の機会を確保するとともに、その機会を特定有期雇用派遣労働者等に提供すること
ⅲ)派遣労働者以外の労働者として期間を定めないで雇用することができるように雇用の機会を確保するとともに、その機会を特定有期雇用派遣労働者等に提供すること
ⅳ)特定有期雇用派遣労働者等を対象とした教育訓練であって雇用の安定に特に資すると認められるものとして厚生労働省令で定めるものその他の雇用の安定を図るために必要な措置として厚生労働省令で定めるものを講ずること
② 特定有期派遣労働者等に対する雇用安定措置の義務
派遣先の事業所における同一の組織単位の業務について継続して3年間当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがある特定有期雇用派遣労働者については、上記ⅰ~ⅳのいずれかの措置を講じなければならない(同法30条2項)。
派遣元事業主の講ずべき派遣労働者のキャリア形成のための措置
労働者派遣法は、派遣元事業者に対し、派遣労働者がキャリア形成・キャリアアップを図れるように、次の措置を義務づけている。
① 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者が段階的かつ体系的に派遣就業に必要な技能及び知識を習得することができるように教育訓練を実施しなければならない。派遣労働者が無期雇用派遣労働者であるときは、当該無期雇用派遣労働者がその職業生活の全期間を通じてその有する能力を有効に発揮できるように配慮しなければならない(同法30条の2第1項)。
② 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の求めに応じ、当該派遣労働者の職業生活の設計に関し、相談の機会の確保その他の援助を行わなければならない(同法30条の2第2項)。
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