第9章 労働関係の展開に関する法規整
時季指定権と時季変更権
○時季指定権
年次有給休暇(年休)は、「労働者の請求する時季に与えなければならない」(労働基準法39条5項本文)。
従って、労働者が具体的な月日を指定した場合には、次の「時季変更権」が認められる場合を除き、その日に年次有給休暇を付与しなければならない。
○時季変更権
使用者は、労働者が請求した時季に年次有給休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」にのみ、他の時季に年次有給休暇を与えることができる(労働基準法39条5項但書)。
「事業の正常な運営を妨げる場合」にあたるためには、当該労働者の年休指定日の労働がその者の担当業務を含む相当な単位の業務の運営にとって不可欠であり、かつ、代替要員を確保するのが困難であることが必要である。単に「業務多忙だから」というだけでは、時季変更権は認められない。
※具体的な時季指定に対する時季変更権行使の意思表示は、たんに指定された年休日には事業の正常な運営を妨げる事由が存在するという内容のものであれば足りる。労働者はいつでも別の日を年休日に指定できるため、代わりの年休日を使用者が提案する必要はない。
※時季変更権の行使には他の時季に年休を与える可能性の存在が前提となる。そこで、労働者が退職時に未消化年休を一括時季指定する場合には、他の時期に年休を与える可能性がないので、時季変更権を行使しえないこととなる。
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