第9章 労働関係の展開に関する法規整
公益通報者保護法
「公益通報者保護法」(平成十六年六月十八日法律第百二十二号)は、公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効等並びに公益通報に関し事業者及び行政機関がとるべき措置を定めることにより、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の規定の遵守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的とする法律である(1条)。
○要件等
「公益通報」とは、労働者が、不正の目的でなく、労務提供先等について、「通報対象事実」が生じ又は生じようとする旨を、「通報先」に通報することである。
「通報対象事実」とは、以下の事実である。
① 国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律として別表に掲げるものに規定する罪の犯罪行為の事実
② 別表に掲げる法律の規定に基づく処分に違反することが①の事実となる場合における当該処分の理由とされている事実等
※別表に掲げる法律は、刑法、食品衛生法、金融商品取引法、JAS 法、大気汚染防止法、廃棄物処理法、個人情報保護法、独占禁止法、道路運送車両法等である。
「通報先」は、次の者である。
① 事業者内部(内部通報)
② 通報対象事実について処分または勧告等をする権限を有する行政機関
③ 事業者外部(通報対象事実の発生またはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者)
○公益通報者の保護
「公益通報」した労働者は、以下の保護を受ける。
① 公益通報をしたことを理由とする解雇の無効・その他不利益な取扱いの禁止
②(公益通報者が派遣労働者である場合)公益通報をしたことを理由とする労働者派遣契約の解除の無効・その他不利益な取扱いの禁止
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