第9章 労働関係の展開に関する法規整
健康診断
事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない(労働安全衛生法66条)。違反した場合は、50万円以下の罰金に処せられる(同法120条)。
労働安全衛生法に基づく健康診断の種類には、次のものがある。
① 一般健康診断(同法66条1項)
・雇入時の健康診断(同法施行規則43条)
・定期健康診断(同法施行規則44条)
・特定業務従事者の健康診断(同法施行規則45条)
・海外派遣労働者の健康診断(同法施行規則45条の2)
・給食従事者の検便(同法施行規則47条)
② 特殊健康診断(同法66条2項・3項、じん肺法)
・一定の有害な業務に従事する労働者等に対する健康診断
健康診断の受診義務
労働者は事業者が行なう健康診断を受けなければならない(労働安全衛生法66条5項)。ただし、罰則はない。
労働者は、事業者の指定した医師とは別の医師による健康診断を受ける「医師選択の自由」が与えられている(同項但書)。
※労働安全衛生法に基づく健康診断に該当しない「法定外健診」についても、労働者の受診義務・医師選択の自由が問題になることがあるが、業務上認定された疾病につき、労働者の受診義務や医師選択の自由を理由として受信を拒否することは許されないとした裁判例がある。
また、私傷病による病気休職からの職場復帰の際の受診指示については、労働者に受診義務があるとした裁判例がある。
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