第9章 労働関係の展開に関する法規整
産前産後
◯産前産後の休業
使用者は6週間(多胎妊娠の場合にあっては14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない(労働基準法65条1項)。
また、使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障ないと認めた業務に就かせることはさしつかえない(同条2項)。
産前の休業は本人の請求を待って与えられる休業である。
これに対し、産後の休業は、本人の請求の有無を問わず与えられなければならず、また本人が就業を希望しても与えられなければならない強制休業である。
◯産前産後休業の算定等
産前の休業期間の算定は、自然の分娩予定日を基準にして行われる。したがって、現実の出産が予定より早ければそれだけ産前休業は短縮され、予定日より遅れればその遅れた期間も産前休業として取り扱われる。
これに対し、産後の休業時間の算定は、現実の出産日を基準に行われ、出産当日は産前休業期間に含まれる。
◯休業中の賃金
休業中は就業規則等に有給の定めがないかぎり無給となる。もっとも、健康保険により、出産手当金が支給される。
◯解雇の禁止
産前産後の休業期間およびその後の30日間は、使用者は当該女性労働者を解雇することが禁止される(労働基準法19条1項)。
◯産前産後休業と年休の要件
また、産前産後の休業期間は、年次有給休暇の要件のうえでは出勤したものとみなされる(同39条8項)。
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