第9章 労働関係の展開に関する法規整
年次有給休暇
「年次有給休暇(年休)」は、労働者に対し、休日のほかに毎年一定日数の休暇を有給で保障する制度である。
一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される。
年次有給休暇の成立要件と付与日数
年次有給休暇の成立要件は、①労働者が6か月間継続勤務し、②全労働日の8割以上出勤することである(労働基準法39条1項)。
この要件を満たした労働者は、10労働日の年次有給休暇が付与される(同項)。
また、最初に年次有給休暇が付与された日から1年を経過した日に、②と同様の要件(最初の年次有給休暇が付与されてから1年間の全労働日の8割以上出勤したこと)を満たせば、11労働日の年次有給休暇が付与される(労働基準法39条2項)。その後同様の要件を満たすことにより、次の表に示す日数が付与される(同項)。
※なお、「勤続勤務」は、事業場における在籍期間を意味し、勤務の実態に即して実質的に判断される。臨時労働者の正社員への採用、定年退職者の嘱託としての再採用、短期労働契約の更新、在籍での出向、休職者の復職などは実態からみて「継続勤務」となりうる。
※「継続勤務」は在籍で足りるので、休業中や休職中も継続勤務となる。
※業務上の怪我や病気で休んでいる期間、法律上の育児休業や介護休業を取得した期間などは、出勤したものとみなして取り扱う必要がある。
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