第9章 労働関係の展開に関する法規整
企画業務型裁量労働制
「企画業務型裁量労働制」は、「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」に、「対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者」が就く場合に、対象労働者について、実際の労働時間と関係なく、労使委員会の決議で定めた時間労働したものとみなす制度である(労働基準法38条の4)。
企画業務型裁量労働制は、事業活動の中枢にある労働者が創造的な能力を十分に発揮できるよう、仕事の進め方や時間配分に関し自律的で自由度の高い柔軟な働き方を実現するために導入された制度である。
企画業務型裁量労働制を導入できる事業場
企画業務型裁量労働制は、いかなる事業場においても導入できるわけではなく、「対象業務が存在する事業場」である。
具体的には、以下の事業場が該当する。
① 本社・本店である事業場
② ①のほか、次のいずれかに掲げる事業場
ⅰ)当該事業場の属する企業等に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行なわれる事業場
ⅱ)本社・本店である事業場の具体的な指示を受けることなく独自に、当該事業場に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす事業計画や営業計画の決定を行っている支社・支店等である事業場
従って、個別の製造等の作業や当該作業に係る工程管理のみを行っている事業場や、本社・本店又は支社・支店等である事業場の具体的な指示を受けて、個別の営業活動のみを行っている事業場は、企画業務型裁量労働制を導入することはできない。
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