第9章 労働関係の展開に関する法規整
時間外労働の限度
「時間外労働の限度に関する基準」(限度告示)は、36協定で定める時間外労働の延長の限度に関する基準として、厚生労働大臣が労働基準法36条2項に基づいて定めた告示である。
労使は、36協定の内容が同基準(限度告示の基準)に適合したものとなるようにしなければならない(労基法36条3項)。
限度告示の基準は、①1日を超えて3ヶ月以内の期間と②1年間の双方について、延長限度時間(延長時間)を協定しなければならないとしている。
(1) 原則
一般の労働者の場合、延長限度時間(延長時間)の上限は、次のとおりである。
延長限度時間の上限は、1か月45時間、1年360時間と説明されることが多い。
(2) 特別条項付き協定
「臨時的」に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない「特別の事情」(予算・決算業務、業務の繁忙、トラブルへの対応等)が予想される場合に、「特別条項付き協定」を締結すれば、限度時間を超える時間を延長時間とすることができる。現行では、労使で「特別条項付き協定」を締結することで、1か月45時間等の上限を超えた時間外労働が可能となっている。この点は、「働き方改革実行計画」により、法改正による時間外労働の上限規制の導入が予定されている※。
※時間外労働の上限規制に関する「働き方改革実行計画」の内容については、第1課題 【時間外労働の上限規制】以下を参照
(3) 適用除外
次の事業又は業務には、限度告示基準は適用されない。
① 工作物の建設等の事業
② 自動車の運転の業務
③ 新技術、新商品等の研究開発の業務
④ 厚生労働省労働基準局長が指定する事業または業務
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