第9章 労働関係の展開に関する法規整
有期契約労働者
○有期契約労働者
有期契約労働者とは、期間の定めのある労働契約(有期労働契約)によって使用される労働者である。
無期契約(無期契約労働者)である「正社員」に対して、「契約社員」と呼ばれることもある。
有期契約労働者には、「日雇い」、「臨時工」、「季節労働者」、「期間社員」、「アルバイト」、「嘱託」、「パートタイム労働者」など様々の態様があり、非正規雇用労働者(非正規労働者)に位置付けられる。
○有期契約労働者に関する規制
有期労働契約については、雇止めによる不安や有期労働契約であることを理由として不合理な労働条件が定められる問題などに対処し、安心して働き続けることができるように、次のような規制が定められている(2017年時点)。
① 有期労働契約の1回の契約期間の上限規制(労働基準法14条1項)
② 期間途中の解雇制限(労働契約法17条1項)
③ 無期転換ルール(労働契約法18条)
④ 雇止めの制限(労働契約法19条)
⑤ 期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止(労働契約法20条)
⑥ 労働契約時の労働条件の明示(労働基準法15条)
※【明示義務】を参照
⑦ 雇止めの予告、雇止め理由の明示、契約期間についての配慮(有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準)
有期労働契約の1回の契約期間の上限規制
有期労働契約を締結する場合、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、1回の契約期間の上限は原則3年とされている(労働基準法14条1項)。
ただし、以下の特例が認められている。
① 専門的な知識、技術又は経験(「専門的知識等」)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約は、1回の契約期間の上限は5年(1号)
② 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約は、1回の契約期間の上限は5年(2号)
上記規定に違反して上限を超える期間が定められた場合には、当該契約における契約期間は上限の期間に改められる。
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