第3章 働き方改革実行計画
病気の治療と仕事の両立
近年、労働環境の変化などにより脳・心臓疾患や精神疾患などを抱える労働者が増加していることや、医療技術の進歩によりこれまで予後不良とされてきた疾患の生存率が向上していることなどを背景に、治療をしながら仕事を続けることを希望する労働者のニーズが高くなっている。我が国では、罹患しながら働く人数が2,007万人(2013年)あり、労働人口の約3人に1人が何らかの疾病を抱えながら働いている。病気を抱える労働者の就業希望は92.5%(2013年度)に及ぶ。
しかし、疾患を抱える労働者に働く意欲や能力があっても、治療と仕事の両立に向けた柔軟な休暇制度・勤務制度の整備が進んでおらず、治療しながら就業を継続したり、休職後に復職することが困難な状況にある。常用雇用者30人以上の民営企業における病気休暇制度のある企業割合は22.4%(2012年)、常用雇用者50人以上の民営企業における病気休業からの復帰支援プログラムのある企業割合も11.5%(2012年)にとどまっている。
このため、治療と仕事を両立できない労働者は多く、治療のため離職した人の割合(がん)は約34%(うち依願退職30%、解雇4%)にのぼる(2013年)。がん罹患後に離職した主な理由は、仕事を続ける自信の喪失、職場に迷惑をかけることへの抵抗感があげられている(2013年)。
このため、治療と仕事が両立できる雇用環境の整備や、病気によって就労が困難になった際の主治医や会社と連携したコーディネータによる支援体制、病院とハローワークの連携による身近な相談支援体制の整備などが望まれている。
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