第7章 個別的労働関係法
個人事業者と労働者
労働基準法や労働契約法等の労働法は、「労働者」に適用され、個人事業者には適用されないのが原則である。
※「労働者」の意味については、第2課題【労働者】を参照
請負・委任契約による労務供給者が「労働者」か、それとも労働法の適用がない「個人事業者」かは、契約の形式(文言)によって決められるのではない。形式的には請負契約・委任契約等によっていても、労働関係の実態において事業に「使用され」かつ賃金を支払われている労働関係と認められれば、「労働者」といえる。
労働基準の監督行政や裁判例では、「使用従属関係にあること」と概括的に表現したうえ、労働関係の様々な要素を吟味し、それらを総合して労働契約法や労働基準法の「労働者」性を判定するというのが確立した判断方法となっている。
その判断要素としては、①仕事の依頼への諾否の自由、②業務遂行上の指揮監督、③時間的・場所的拘束性、④代替性、⑤報酬の算定・支払方法を主要な判断要素として、また、①機械・器具の負担、報酬の額等に現れた事業者性、②専属性等を補足的な判断要素として判断するのが一般である。