第7章 個別的労働関係法
労働契約
◯労働契約
「労働契約」は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する契約である(労働契約法6条)。
◯労働者
労働契約法における「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう(2条1項)。
◯使用者
労働契約法における「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう(2条2項)。
◯労働契約に関する主な制度
労働契約に関する主な規制法は、次のとおり。
① 労働基準法
労働基準法に基づき、違反があった場合には労働基準監督署において是正の監督指導等が行われる。
② 労働契約法
労使間のトラブルを防止するため、労働契約法において民事上のルールとして規制が定められている。
労働契約における原則
労働契約の締結や変更は、以下の原則に基づいて行うことが必要である。
① 労使の対等の立場によること(合意の原則・労使対等の原則)
② 就業の実態に応じて、均衡を考慮すること(均衡考慮の原則)
③ 仕事と生活の調和に配慮すること
④ 信義に従い誠実に行動しなければならず、権利を濫用してはならないこと(信義誠実の原則と権利濫用禁止の原則)
合意の原則(労使対等の原則)
労働契約法は、まず、労働契約は労働者および使用者が対等な立場での自主的交渉において合意することによって締結し、変更されるべきである、という「合意の原則」(労使対等の原則)を宣明する(1条・3条1項)。
この合意原則には、労働契約の成立、変更は、労働者または使用者の一方的決定のみによってはなしえず、労働者と使用者側の合意が必要であるとの基本原則と、その合意は両者が対等な立場に立った交渉によって達成されるべきであるとの基本理念が含まれている。
労使対等の基本理念は、労働条件の決定について、労働者と使用者が対等の立場に立つべきことを規定した労働基準法2条1項と同様の趣旨である。