第7章 個別的労働関係法
秘密保持義務
労働者は、労働契約の存続中は、その付随的義務の一種として、使用者の営業上の秘密を保持すべき義務を負っている。また、多くの企業では、就業規則に営業秘密の保持義務が謳われており、その場合には当該就業規則の規定が労働契約を規律していることとなる。
労働者がこのような秘密保持義務に違反したときは、就業規則の規定に従って懲戒処分、解雇、債務履行・不法行為に基づく損害賠償請求などがなされうる。
労働契約の終了後については、就業規則の具体的な規定や個別的な特約によって一定の営業秘密の保持が約定されていると認められる場合には、その約定が必要性や合理性の点で公序良俗違反とされない限りその履行請求や、不履行による損害賠償請求が可能である。