第4章 労働法総論
職業選択の自由
憲法22条1項は、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」として、基本的人権として職業選択の自由を保障する。
「職業選択の自由」は、自己の従事する職業を決定する自由を意味しており、これには、自己の選択した職業を遂行する自由(「営業の自由」)も含まれるものと考えられている。
また、「職業選択の自由」の精神を実現するためには、「就職の機会均等」(不合理な理由で就職の機会が制限されないこと)が成立しなければならないが、それを実現するためには、雇用する側が応募者に広く門戸を開いた上で、差別のない合理的な基準による採用選考を行うことが必要である。一方、雇用する側にも採用方針・採用基準・採否の決定など「採用の自由」が認められているが、応募者の基本的人権を侵してまで認められるわけではない。
そこで、雇用する側に対しては、適正・能力のみを基準とした「公正な採用選考」が求められている(厚労省「公正な採用選考を目指して」)。